先日の温泉に続き、
昨日の夜は大阪で、将棋のA級順位戦最終局の大盤解説に行って来ました。
(ここ二週間くらいは、仕事を抑えめにして自分のやりたかったことをひとまずやっています)
将棋には、順位戦という制度がありまして、これは細かく説明するといくら時間があっても足りないんですが、
簡単に言えば、「序列を決める戦い」です。
将棋の世界は典型的なピラミッド構造になっていまして、
一番上が名人(今はかの羽生さん)
その下に、トッププロ10人が所属できるA級
その下には、「鬼の住処」と呼ばれる、13人前後のB級1組
その下には、B級2組
その下にC級1組
更にその下に、C級2組
というレイヤーが、マズローの欲求構造のように、きれいなピラミッドになっています。
将棋のプロになるには、「奨励会」という育成機関に所属をして、
年齢制限までに規定の成績を収めて「四段(=プロ)」にならないと、退会を余儀なくされるという仕組み。
奨励会の入会時には、段位は6級から始まりまして、
書道のように段・級が上がっていって、「三段」になれれば、プロの一歩手前「三段リーグ」に所属して、半年間かけて、16人の総当たり戦を行って上位2人のみがプロになれる、という世界。
四段になったプロはまず、C級2組から順位戦を戦います。
順位戦は一年の長丁場で、基本的に4月以降に始まり、2・3月に大詰め。
ここでも、各クラスで上位2~3人のみが「昇級」でき、年度が変われば次の順位戦を戦います。
すごく簡単に言えば、将棋界のトップの証である「名人位」への挑戦権を争えるのはA級の10人のみ。
なので、C級2組から将棋人生を始めたプロは、名人位に挑戦するには少なくとも5年間かけて順位戦を勝ち上がっていかないと、最高章のタイトル戦を戦う資格は得られないことになります。
(なお、将棋には他にもタイトル戦が複数あって、これらは順位関係なく勝ち進めれば、理論上は挑戦することができます。)
で、A級順位戦というのは、選ばれしトップ10人が名人戦挑戦権をかけて、総当たりで一年掛けて、9回戦います。
この戦いが「順位戦」と言われる所以は、トップ10人(そして順位戦に参加しているプロ棋士全員)には、1位、2位、3位…と、まさに「順位(序列)」が与えられるからでして、
トップ10人と言えど、その成績によって1~10位が決まるわけです。
で、順位戦が面白いのは、その順位1つが、昇級降級に関係するからなんですね。
各クラスで2~3名昇級者が毎年出る、ということは、「同じ人数だけ降級者もでる」ということに他ならないわけですが(B級2組以下は本当は違うんですが、ここでは便宜上同じとします)、
その降級枠が、順位1つの差で決まってしまうと言う、シビアな世界。
例えば今回のA級で言うと、
8回戦(最終局のひとつ手前)の時点の成績が下の人は4人。
その成績は、2勝6敗、3勝5敗で、
最終局の対戦の組み合わせと対戦結果で、最終成績が決まるわけです。
説明を簡単にするために、上の成績四人が最終局を終えて、全員3勝6敗になったとします。
(これより成績が悪い人はいない)
この場合、二人の降級枠をどうやって決めるのか、というと、「順位」になるわけです。
例えば、上の四人の順位戦での序列が
2位、4位、6位、8位
だったとすると、同じ成績で並んだ場合は、下の二人(この場合6位と8位)が、自動的に降級。
で、最終局の結果の組み合わせ次第で、順位と成績の組み合わせに複数の場合が生じ、
それが分かるまで、自分が降級になったのか、そうでないのか、というのが本人には分からない、というのもまた、順位戦の「醍醐味」なのです。
例えば、自分が勝っても、他の二人が共に勝つと自分は降級、とか、
自分が勝って、Aさんが勝ち、Bさんが負け、だとBさんが降級とか、
自分が勝って、Aさんが負け、Bさんが勝ち、だとAさんが降級、とか、
とにかく、複雑な場合があるわけですね。
おまけに、将棋の対局ってイメージが分からないかも知れませんが、A級順位戦の場合、二人の持ち時間が各6時間(6時間、考えられるということ)、
対局開始が朝の10時で、終局は午後11時~午前2時くらい、という、まさに「長丁場」。
こういうこともあって、毎年A級順位戦の最終局が行われる日は「将棋界の一番長い日」と言われるわけですが、
要するに、この日の一斉対局の解説が行われるので、行って来たということです(笑)
長くなってしまったので、次の記事に移ります。
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