2016年3月15日火曜日

特許翻訳におけるシングルソース・マルチユース

今の仕事の分野は、「オルガノポリシロキサンエラストマー」とかが出てくる分野なのだが、


この辺りの言葉や意味は、講座受講の一番最初に調べたのだ。

(たぶん、高分子系の話で意味が分からなくなったときに自分なりに調べていったら、シリコン系の資料が出てきた)



で、もう一年以上前の話なのに既視感があって、割と覚えているんだなー、ということにびっくりもしたのだが、


ふと思った、こういう「考え方」こそが、特許翻訳におけるシングルソース・マルチユースなんじゃないだろうか、と。


今までだと、「同じチャンクを使い回す」とか、「資産系」の話じゃないとこの手の話はイメージできなかったのだけど、



ある程度化学系の仕事を受けてきて気づいたのは、例えば長鎖炭化水素(やシロキサンポリマー)の末端を変える、とか側鎖を改質する、とか、間に親水性(疎水性)基を導入する、とか、分子量を変えてみる、とか、「だいたいどこを変えるのか」という、パターンが分かってきた、ということだ。

(一応断っておくが、自分はまだ「こういう時にはここをこう変えればいいよね」ということを言えるまでには至っていない。ただ、明細書を読んでいると、Aという変化をつけてみたり、Bと変化してみたり…という、幾つかのパターンがある、ということに気づいただけだ)


上の場合だと、長鎖アルキルやシリコーン系ポリマーになるが、これが薬物送達のための生体適合性ポリマーだったり、ペプチドだったりする場合も当然ある。が、どんな分野であれ、化合物の改質や化合のパターンが、数をこなす中である程度分かるようになってきた、というのが大きいと思っている。


最近は、翻訳をしていて「?」と立ち止まることも少なくなってきて、結果的に一日の処理量は微増していると思う。(それ以上に、ペースを乱すことなく仕事をストレスフリーで進められることのほうが、メリットは大きいと思っているが)


たまに考えて立ち止まっても、「これはこういうことだよな?」と、自分なりに修正をしてすぐに理解できることが多くなってきた。(コメントを残す回数は、相変わらず多い)



自分は決して、取引先から仕事の分野を限定して打診されることはない。

製薬系の、化合物名、官能基名、合成スキームが延々と出てくる分野をやったこともあれば、カルシウムなどが体に影響をどのように与えるのか、といった薬理学的要素の強い案件も受けたことがあるし、化合物をどうやって体内に送達するのか、という話もあった。

他方、金属材料・合金の製造や炭素材料、高分子材料の合成や接着フィルムでの使用といった分野、食品系(強化食品等)と、本当に多岐にわたる案件を担当させてもらっている。


それがいいのかどうかはよく分からないのだが、数をこなす中で思ったのは、一回新しい分野の仕事を必死でやれば、その世界の考え方はある程度理解できるようになって、「空白地点」が減るのは確かだし(つまり、既視感が増える)、上の化学修飾の話ではないが、別の分野でも使われている原理や思想は、案外似ているんだな、ということでもある。


つまり、講座ビデオでも言われている「世界の切り取り方を増やす、フィルターを強化する」ということが他ならない、特許翻訳における「シングルソース・マルチユース」ではないだろうか、ということに今更ながら気づいたのだ。




(2016/03/15の記録:仕事5h、ビデオ物理0021)







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