2015年12月16日水曜日

memoQ2015所感(2)


良い点

・プロジェクトファイルを途中から開いた場合(例えば翌日)、前回終えた箇所がすぐに表示される。

→Trados2014は必ず、ファイルの頭になるので、終わったところに「★」を入れて、いつも検索していた。(これはmemoQ使っていても変わりませんが)


・分節の切断と結合の柔軟性が高い。

例えば、This is a pen. This pen is blue.という文章が連続していると、

This is

a pen.

This pen

is blue.


と、間違って区切られている場合に、

This is

a pen. This pen

is blue.


のような結合が可能になる。

→Trados2014では、場合によるが、文章の切断が変なところでされている場合、Trados上で結合できない場合がある。

あと、Trados2014の場合、化合物の羅列がびっしり出てきたときに、例えば前処理で化合物名で区切ったファイルを用意してTradosに組み込むと、Trados上でこれらのセグメントを結合することはできないのだけれど、memoQだとこの操作ができる、と考えられる。

ということは、前処理を上手くすることで、訳語挿入の手間が省けるということになるのではないか。



・レイアウトの変更が可能


Tradosでもあったような気がするけど、原文訳文の窓、メモリや用語集の参照窓の位置が幾つかデフォルトで入っていて、自分が使いやすいものを選択できる。

(個人的には、Tradosはこの点で使いにくかった…)


・原文編集が容易

原文で文字化けや不要(または余分)なスペースがあるときには「ソースの編集」で修正できるのだけど、

この時に、他のソフトを参照しても、編集画面が閉じない。


例えば、PDFを参照しても、ブラウザを見ても、原文のセグメントが編集可能になったままである。


これが、Tradosだと、別のソフトを前面に持ってきただけで、編集画面が閉じてしまう。(つまり手間がかかる)


あとは、原文に出てくる不要なタグも、memoQだと簡単に削除できる。

これがTradosだと、原文に埋め込まれたタグは削除できないし、タグがあるときに変なところで分を区切ると、対応する閉じタグ(?)がセグメントから外れるからなのか、勝手にタグが増えていった。




悪い点

・セグメントの結合は、最初か最後のセグメントを起点にしてしか全選択できない。

例えば


A

B

C


というみっつのセグメントを結合しようとすると、

最初にAかCのセグメントにカーソルを置かないと、残りのセグメントを全て選択できない。

Bにカーソルを置いてしまうと、その上か下のどちらか一方にしか、選択ができなくなる。


Tradosはそうではなかった。



・「元に戻す」「やりなおし」ボタンがデフォルトで表示されない。


ツールバーの「編集」という部分を開けば表示されるけど、ワードやTradosのように、一番上の部分に付いていない。ので、ちょっと不便。


・時々原因不明のエラーが出る。

→なぜかセグメントにひらがな入力ができなくなる。(仕方なく秀丸で作業をしてコピペ)


・セグメント内で文章の順序を整えるとき、切り取り+ペーストが使えないときがある。


→切り取りはできるのだけど、なぜかペーストができなかったり。(一度別のセグメントをクリックすると、問題なくできる)




最後二つは、自分のパソコンとの相性なのかも知れません。




ただ、ここまで使ってきて、用語認識も問題なく、セグメント分割/結合も柔軟にでき、落ちることもないので、本当に優秀なソフトです。


これで作業負担が1割前後減ったのは間違いないですね。






で、ここまで来ると、もはやTradosがアミバ(北斗の拳に出てくるやつ)にしか思えないという。






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2 件のコメント:

  1. はじめまして。だいぶ前の記事へのコメント、お許しください。
    私も翻訳者で、最近memoQを使い始めた者です。

    こちらの記事にあった、

    「・時々原因不明のエラーが出る。
    →なぜかセグメントにひらがな入力ができなくなる。」

    というので、まさに困っていたところで、
    検索していてこちらの記事を見つけました。

    memoQやPC自体を再起動しても直らないので、
    どうしたものかと思っています。

    もし、上記にあるような「秀丸で書いてコピペ」以外に対処法などご存じでしたら、
    ご面倒でなければ教えていただけませんでしょうか?

    突然の質問で失礼しました。

    返信削除
    返信
    1. emi様

      コメント有り難うございます。
      セグメントにひらがな入力ができない場合ですが、memoQを使い続けて自分なりに把握した傾向としては、

      ①「用語の登録」ボタンを押して用語を登録した場合
      ②一文が長すぎる文章を修正する場合

      に、ひらがな入力ができないようです。

      ①については、「用語のクイック登録」をすれば問題ないのですが、「用語の登録」ボタンで操作をすると、登録作業が終わった後に翻訳をしようとすると、なぜか日本語入力がローマ字入力に勝手に変更してしまうようです。

      ②については、たとえば訳文が「この組成物は、●ことと■ことと△を含み、●は~~を特徴とし、■は~~を特徴とし、△は~~を特徴とする」というような、5行くらいにわたる長文になっている場合、

      訳文に誤字脱字があった場合に、訳文セグメントで文章を入力しようとすると、日本語入力ができずにローマ字入力となってしまうようです。


      私が体験したのはこれらの2パターンですが、①については「用語のクイック登録」で対応し、②についてはテキストエディタソフトを立ち上げて、そこで修正したい言葉を打ち込んでセグメントにコピペする、という方法を取って対応しています。

      もしemi様が別のケースに遭遇されているのであれば、別の対応方法があるのかもしれませんが、私には分かりかねます…申し訳ございません。

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