2016年1月3日日曜日

2016年1月3日

・ジョブ 3.5h


製薬系の明細書を読んでいると、
複雑な化合物を阻害剤として使う実施例が出てくる時が多々あるんですが、


その時に、本文中で光学異性体の記載方法について述べられている場合があるんですね。

どういう分離方法を用いるのか、とか、
各不斉炭素がRであるかSであるかが、分かっている場合とそうでない場合の記載方法の違いとか、
詳しいことはここでは書きませんが、

これについては、マクマリー有機化学の上巻で面白いことが書かれていました。



光学異性体の分割方法に関してなのですが、


「最も一般的な分割法は、キラルなカルボン酸RCO2Hのラセミ体と、アミン塩基RNH2から、アンモニウム塩を作る酸塩基反応を利用するものである」(p152)
とあって、

ここでは例として、
乳酸のラセミ体
((+)-乳酸(便宜的にaとする)と(-)-乳酸(便宜的にbとする)のラセミ体)
を、

キラルなアミン塩基の単一な鏡像異性体と反応させると、

化合物:a-(アミン塩基)

化合物:b-(アミン塩基)

はジアステレオマーになって、
これらは化学的及び物理的性質が異なるために、
各種方法によって分離できる、という道理なんですが、

(詳しくは「マクマリー有機化学(上)をどうぞ)




この、「aとbを分離するのに、一度別の物質と反応させる」っていうのは、
今思えば、すごく深みがあることだと思うんですね。

これって、講座ブログで言われている「コアの発掘」と同じで、


「コアはそのままじゃ見えない」ということと、同じことのように思えるわけです。

「コアを、フィルターを通して見せる」

とありますが、
コアが、取り出したい物質で、
フィルターが、それにくっつける(反応させる)物質。

そこにaとbという存在があるのに、
それ単体だけで取り出すことができないっていうのは、
今考えてみるとちょっと意外なことなんですけど、
この分離操作のように「ワンクッション入れる」ことで抽出できるようになる、ということは、
すごく大切なことなのかな、と思いました。


マクマリーの該当箇所を読んだのは数ヶ月前なんですが、
その時はなんとも思わなかったので
(「一回別のものと反応させるのかー」という点は、興味深かったですが)
こんな風に繋がることになるとは思っていませんでした。


(仕事をしている時にこんなことばっかり思いつくから、仕事が進まないんですが…)






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